大学入学後は初めて訪れたパリの街の美しさに魅了され、 いつか実際に住んでみたいと思うようになりました。
語学学校へ通いながら
フランス独特の芸術文化の豊かさに浸り
もっと深く歴史や背景を知りたいと強く誓いました。
大学の第二外国語はフランス語を取得し、社会人になってからも
心の奥底でひそやかにパリへのあこがれを抱きながら
3年間貯金を貯めました。
それまで神奈川県横浜市から出たことがなかった私は
初めての一人暮らしをパリですることになり
それはもう苦労が絶えませんでした。
アパルトマンの暖房がつかなかったり、
スリに遭って財布とデジカメを盗まれたり
スーパーで買った子羊の肉にあたって3日間寝込んだり。
出発前、入っておいた留学保険に感謝しました。
次から次へと予想外のハプニングが起き、
だんだん動じなくなったのは
フランス留学の経験が大きいと思います。
![フランス雑貨通販](https://gigaplus.makeshop.jp/ukfr/free/ryugaku12.jpg)
留学先で出会った人たちはそのまま日本にいたら
出会うことのない人たちばかり。
語学学校の帰り、
話さないとフランス語がうまくならない、と
勇気を振り絞って同級生たちをカフェに誘いました。
旧ユーゴスラビアの内戦から逃れ一家でパリへ移住してきたセルビア人たち。
国営放送で記者をしていたアイスランド人。
祖国の家族のために仕送りしたいと建築の仕事をするポーランド人。
親が石油会社を経営していて40過ぎまで働いたことがないオマーン人。
そしてこのオマーン人と中東情勢についていつもけんかするイラン人。
さらに隣に住むフランス人は小学校の先生で
授業そっちのけ、しょっちゅう「賃上げ要求」のデモに参加。
メトロも労働環境の改善を求めてストライキ。
今まで日本で平和に暮らしていた自分とちがい
バッググラウンドが似ている人など一人もおらず
国の数だけ抱えている事情が異なる。
「なんだかすごいところへ来ちゃったなあ」と
ドラマとエキサイティングが絶えない毎日。
「あなたはどう思う?」
「あなたはどうしたいの?」
いやでもフランス語で話さないと自分の考えが伝わりません。
「空気を読んで遠慮したら損。
はっきり自己主張しないと
このフランスで生きていけない」
と思いしらされ、つたないながら
辞書を片手に一生懸命フランス語を話しました。
日本にいたころよりも地球規模で起こっている社会課題や世界情勢の複雑さにより関心を寄せるようになったのは、あの時、思い切ってカフェに誘った同級生のおかげかもしれません。
![フランス留学の経験 三浦美保子](https://gigaplus.makeshop.jp/ukfr/free/ryugaku13.jpg)
日曜日は家族で集まってワイン片手にランチを食べる。
セーヌ川やリュクサンブール公園でワイングラスとフロマージュをもってピクニック。
郵便局はどんなに行列ができようと
閉店時間になったらガラガラとシャッターを閉める。
ルーヴル美術館では子供たちが寝そべって存分にスケッチ。
バカンスはたっぷり2週間。
ホームステイ先の家ではかわいらしいティータオルが無造作にキッチンに溶け込んで50年前のカフェオレボウルを当たり前のようにプチ・デジュネ=朝食で使う。こんな生活を日本でも実現できないだろうか、と考えたときにフランス雑貨のネットショップを開くアイデアが生まれました。
休む時は休むフランス人。生活そのものを楽しむフランス人。
長時間労働&過剰なおもてなしになりがちな日本とはまったくちがい、
プライベートを大事にする働き方、生き方にとても感心しました。
今、目の前に広がるパリの街は19世紀、
ナポレオン3世の時代に行われた都市改造計画が礎となっていて
第二次世界大戦の空襲も大きな災害もなく、
200年近くほぼ変わらない姿をとどめている奇跡の風景です。
エッフェル塔は1889年、パリ万国博覧会の時に建設されたまま。
アパルトマンの壁には建築家の名前と建築した年が刻まれていてよく見ると18--、191-、
と100〜200年経っているものもあり、とても驚きました。
そんな古い建物で毎年、世界中からデザイナーが集まり、パリ・コレが開かれ
周辺のカフェではモデルやファッションエディターたちが今年のトレンドについて語り合う
まるでフランス映画のワンシーンのような風景。
その一瞬をフォトグラファーたちが切り取り、
instagramやTwitterなどSNSで発信していく・・・。
築100年、200年経ったアパルトマンやミュージアムから
最新トレンドのファッションが発信されるギャップもまた
パリの魅力の一つではないでしょうか。
![](https://gigaplus.makeshop.jp/ukfr/free/ryugaku15.jpg)
帰国後、結局日本人らしいサラリーマン生活を10年経て
山手に小さなフランス雑貨店をオープンしたのは2019年7月14日。
ちょうどフランス革命記念日でした。
革命記念日にオープンしたからといって、
「よっしゃ日本をひっくりかえす!!」といっただいそれた野望はなく。
こうしたパリの空気やフランスの芸術文化にほんの少し思いをはせる時間を過ごして
日ごろの仕事の疲れが忘れられるようなお店ができたらと思い、オープンしました。
旅行好きな方、フランス好きな方に楽しんでいただけるようにラメゾンドレイルにしかないものやかわいいフランス雑貨を集めました。
語学の勉強、留学、渡欧、起業、就職、などなど自分の夢や目標に向かって一歩踏み出したいけれどなかなか踏み出せない、といった方は 「そういえば横浜におもしろい雑貨店があるな」と頭の片隅に入れて頂き、ほんの少し勇気が必要な決断の後押しにもなれればと思います。
お店にいらした方からは「ちょっとパリへ来た気分」
とおっしゃっていただけて店主も嬉しい限りです。
コロナ禍、円安、ヨーロッパ情勢の不安定さがつづきますが
そんな困難にも負けず3年続けてこられたのは何よりお客様のおかげです。
地元の方々やオンラインショップをご利用頂くお客様の応援は何よりも励みになり心より感謝申し上げます。
かわいいフランス雑貨に翼をつけて全国の皆様へお届けし、
少しでもハッピーな時間を過ごしていただけたら
嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願い致します。